ボールペン自然消滅説
ボールペンをよく無くす。さっきまで手に持って書いてたペンすら無くす。手品みたいな無くし方をするのでたまったものじゃない。
ボールペンを探す時間が一日の間に何度もあるので各場所、要所にそれぞれボールペンを置いて数日様子を見た所、2~3本が一か所に集まった上に絶対数が減っていた。ボールペン増量作戦で俺のカスみたいな動線が浮き彫りになっただけだった。
無くなったボールペンはどこへ行ったのだろうか。
俺の想いとしては、無くなったボールペンはある日ひょっこり俺以外の誰かに拾われて、そのまま私用として使われている、これが一番収まりの良い形だと感じる。勿論俺が俺のボールペンを見つけるのが一番良いんだけど、絶対見つからないから候補から外す。
しかし実際の所、俺の無くなったボールペンは一生出て来ず、誰かが使っている形跡も無い。そして俺自身も、誰かが無くしたボールペンを私用として使っていない。
俺みたいな人間は結構他にも居るハズだから、俺が他人のボールペンを使い、無くし、そのサイクルがぐるぐる回ってなきゃおかしいんだけど、相変わらず俺はボールペンを買い足している。
そこから推測するに、持ち主の居なくなったボールペンは、人知れず溶けている。
俺らみたいな者共が逆PDCAサイクル回して無くし合ったボールペンを永遠使ってたら、文房具屋は儲からないからだ。
絶対に溶けてなくなっているとしか考えられない。
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全く自分の意思が介在せず、神によって決められた運命の例えを表す物として宝くじと交通事故が挙げられる事が多い。
いかに安全運転を心掛けていようと、対向車線を走る車がいきなり目の前にハンドルを切ってこないとは言い切れない。
当然宝くじも自分の努力や行いが作用する余地というのは無い。善人にも悪人にも平等にチャンスがある。
平日休みの金曜日、時間を潰す目的で入った喫茶店は年寄りの集会場になっていた。
常連たちと思われるその人達の邪魔をしないよう、俺は奥の小部屋に自主的に避難した。
ブランデー、ボトルワイン、ビール等何故か豊富なアルコールを有する割にエッグトーストぐらいしかフード選択肢が無いメニューから、普通のコーヒーを注文し、店内に積まれた店主の趣味と思わしき山盛りの本を1冊抜き取って読んでいた所、
自分と同い年ぐらいの男から「この辺の方ですか?」と声を掛けられた。
「違います、〇〇の方です」と事務的に返し、再び本に目を落としていた所、今度は本格的に話しかけられた。
彼の話を要約すると、こういう事だった。
・私は個人的な趣味で人々にインタビューを行っている。
・地元に住む若者にインタビューをし、その声を集めて何かを造りたい。
・何かポータルサイトとかライターとかをやってるわけではない。
・それを踏まえた上でインタビューさせてほしい。
その時俺は、交通事故みたいだなと思った。
インタビューが悪かったとかそういう意味ではない。
それ自体は粛々と答えたが、平日の昼間に老人の集い場と化した喫茶店に入ったら個人的な趣味でインタビューを敢行する男に出会いインタビューに応じる、ってそんな場面そうそう無いよ。そもそも個人的な趣味のインタビューって何???いや、いいんだけど。
俺は割と長く生きる方だと勝手に思っていたんだけど、
多分いつかくだらない事故で死ぬ未来も、全然ありえちゃうんだろうな、嫌だな~と強く思った。終わり。
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市内のGEOへ中古CDを買い求めに出向いた。
この店は近年縮小というか絶滅傾向にあるGEOの中古CD販売エリアを未だにキープし続ける老舗で、
商品の入れ替わりこそ全然無いが正体不明CDが並んでいる確率はブックオフを超え、(自分が見落としているのか新しく入荷したのか分からないが)何故か行く度に新しい発見がある。
「Moonlit Memoirs 真月譚 月姫 Original Sound Track 2」2004年
入手価格180円+税
知らんアニメの知らんサウンドトラック。ファンクポップスに定評のあるコンポーザー大森俊之が関わっていた為購入。しかし内容はザ・劇伴だった。彼は仕事人なので客の求める物を作って来る。1曲だけボッサ風の曲があった。(10曲目「Quarter Moon」)それだけ。
「海がきこえる」1993年
入手価格380円+税
知らんアニメの知らんサウンドトラック。ジャケットの感じから何となく2010年代のアニメなのかなと思って、前々から店に置いてあるのは知ってたけどもっと値段下がってくれないかなと思って買わずにいた。ジャケット何となく新海誠っぽくない?よく見たら90年代だしネットの中古価格相場も1000円超えてたので買った。音楽は永田茂が担当、今作以外の活躍はイマイチ掴めない。3曲目「シーサイドストリート」が薄めたシーウィンドみたいなフュージョンポップでかなり良かった。6曲目「ある晴れた日」も先鋭的な天気予報BGMみたいで素晴らしい。
渡辺貞夫「オレンジ・エクスプレス」1981年
入手価格100円+税
これのCD選書盤が何故か100円で売られていておかしいなと思って買った。コレだけレジのバーコードが通らなくて、店員さんが二人がかりで「こんな事は初めてだ」「みた事無いタグが付いてる」と、滅茶苦茶苦労させてしまった。今作は彼のもはや何作目かも分からないアルバム。今更特に書く事は無い。上質なフュージョンだ。CD選書はコンパクトで良いが音圧の低さはなんとかならないかと思う。
徳永英明「DEAR」1988年
入手価格80円+税
世間のイメージとは裏腹にアルバムは意外とポップスが多い彼の4thアルバム。この見た目でシティポップ全然歌ってくれない。4曲目「TENDERLY」のアレンジがどことなくアーバン。9曲目も歌謡曲に振れたシティポップ。この人のアルバム今の所こんなのばっかり。何か良いのあれば教えて欲しい。
「ENGLISH COVERVERSION IN HIT POPS⑧」1992年
入手価格100円+税
日本のヒット曲を外人がカヴァーした系統のアルバム。①~⑫まである。SHOGUNのギタリストCASEY RANKINがアレンジを手掛けている。内容は、原曲の印象を超える事が無い無味無臭の英語カヴァー。このシリーズは買わなくて大丈夫。
以上
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ジャンクフジヤマの、ちょっと前のアルバムが今凄く安売りされてて駿河屋で300円くらいで手に入るから良いね~~~~と思う。10年前5年前くらいに欲しかったアルバムが今すっごく安く手に入っている。逆に言うと今欲しいCDを定価で手に入れなくても良いや、一部の限定盤を除いて。
でも何か思ったほど良くないんだよねジャンクフジヤマ。あれJ-POPじゃないですか?インディーズの頃に出してたアルバムはスリリングな演奏としつこいソウルポップ風味の楽曲で、全体的に暑苦しい山下達郎のフォロワーだなと思ってたけどメジャーアルバムからめざましTVのテーマソング?太陽のえくぼ?くらいの爽やかなPOPフリークになってしまってシティポップとしては何も面白くないね。スキマスイッチみたいだったからスキマスイッチ好きな人は買うと良いよ。300円は妥当だ。一十三十一のシティポップ路線に舵切りした頃のアルバムとか一向に値崩れしないから市場価格って結構適正に働いてるなと思う。
こういう音楽の話を周りで気軽に出来る感じの人間が居ないのでそれが嫌だなあと思う時がある。人間性が落ちぶれても最後まで共感って求めるものなんだなぁ。
最近釣り人のYoutubeチャンネルを見てる。「釣りよか」というチャンネル。この海域はイカ釣った、この川は雷魚出る、この堤防からはエソばっか釣れてダメ、とか俺がブックオフ行ってこの店では古川真一買った、この店ではフレネシのインディー盤が何故か280円でぶっ刺さってた、とかそういう想い出を呼び覚ますからディガーもアングラーも共通する所があるなあと思いながら楽しく見てます。
凄く若くて見た目の美しい女の人がフナ釣って普通に捌いてるYoutuberとかも居て、この人何者なんだ!?と思わせて惹きつけるのはやはり見た目と行為の泥臭さのギャップがあるからだろうなと思う。俺みたいなのはオタクみたいな見た目でオタク行為してるからハエも寄ってこないウンコ。好きな漫画はワンピース。そこは面白い。アイカツとか見てる見た目なのにそういうのに興味を持たない。
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俺個人的にはジーパンはあらゆるズボンの中で一番ダサい物だと思っていて何であんなに普遍的に流通しているのか全然分からなくて10年前が一番酷くてセレクトショップのズボンコーナー全部インディゴブルーに染まってるつまんねえ光景が一望できた。いくら安定して売れるからと言ってもそれはお店として死んだも同然だろ。
それで変形パンツとかスラックスとか出来るだけジーパンを避けた人生を送って来たのですが5年ほど前にichimile gratoryというブランドの定番でリリースしてる細身のジーパンが、これが自分の価値観をぶっ壊す程格好良いやつで今までのアメカジ的文脈から脱却した品良いシルエットと深い青み、尚且つウエストが太めで履き易く値段も安い(2万しなかったぐらいだと思うけど忘れた)ので最高だった。お気に入りでよく履いてたしそのジーパン何か結構良い感じだよねと言われるぐらいやっぱりその辺の雑魚ジーパンとは決定的に違うんだなと思った。
今日、太り過ぎてそのジーパンが履けなくなっていた。
本当に悲しい。いつの前にか80キロを超えていた。5年前より15キロ増えた。何もしてないのに。何ならジム行ってるのに。俺には太りの才能があるのかもしれない。
3年前ぐらいから太めのシルエットの服が標準的に流行って来たので、2000年代前半とかみんなでクソ細いテーラードジャケットとかジレ着てて衣服に関して窮屈な思いをしていた分思う存分ビッグシルエットやなだらかな服を買って完全に自分の体形に関してノーマークだった。この手の服は自分の体形を覆い隠してシルエットを形作るから余計に悪かったと思う。自分の太りに気付けない。アパレル業界が一体となってみんなを太らせようとしている。
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チェーン店ではない地域密着型の中古レコードショップには、大手が取り扱わないインディーズ物も入って来る。
それらは大概破格の値段で投げ売りされている物であり、しかももう何年も同じ棚で売れ残り続けている。
当時のバンドのメンバーがノルマで知り合いに売りつけたり、お客さんが義理で買っていった物だろうか。妙に未開封品が多いのも特徴だ。
結婚式の引き出物のやっすいシェーバーがセカンドストリートに沢山売ってるみたいな感じ。グラスとかもマジで要らないよね。
CD紹介します。
今から20年前にリリースされた福井のインディーバンドのコンピレーション。
10円という駄菓子みたいな値段だった。内容はパンクロックが多かった。未開封だったのでおよそ売れ残りをこの店に売りに来たのだろう。
昔通ってたギタースクールの先生の曲が一曲入っていてなんとも言えない気分になった。でも明らかに群を抜いて上手くて、それでも10円と思うとやりきれないな。
同じく20年前にリリースされたインディーポップロックバンドのアルバム。当時の福井駅前近辺で撮られた写真なので、福井県民にとっては強いノスタルジーを感じさせるジャケットだ。
この手のCDにしては珍しく、ヴォイスドラマが挿入されている。今作はドラマCDも兼ねている。
ドラマの内容というのが、学生時代の友人達とミニ同窓会をする為に「駅前希望通り」に集合しようよ、という他愛も無い会話劇なんだけど、
この「駅前希望通り」という通り名はこのバンドのアルバムが売れてそれに因んでつけられた名前だと言う。
もちろん駅前希望通りなどという通りは福井に存在しないし、今彼らの事を省みる人間も存在しない。
全く知らない、縁もゆかりも無い小学校のタイムカプセルとか卒アルを勝手に掘り返したような気持ちになった。
このアルバムには当時の福井の雰囲気や、見ず知らずの彼らの息遣いがパッケージされていた。
こういうのが50円で手に入るから面白い。