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チェーン店ではない地域密着型の中古レコードショップには、大手が取り扱わないインディーズ物も入って来る。
それらは大概破格の値段で投げ売りされている物であり、しかももう何年も同じ棚で売れ残り続けている。
当時のバンドのメンバーがノルマで知り合いに売りつけたり、お客さんが義理で買っていった物だろうか。妙に未開封品が多いのも特徴だ。
結婚式の引き出物のやっすいシェーバーがセカンドストリートに沢山売ってるみたいな感じ。グラスとかもマジで要らないよね。
CD紹介します。
今から20年前にリリースされた福井のインディーバンドのコンピレーション。
10円という駄菓子みたいな値段だった。内容はパンクロックが多かった。未開封だったのでおよそ売れ残りをこの店に売りに来たのだろう。
昔通ってたギタースクールの先生の曲が一曲入っていてなんとも言えない気分になった。でも明らかに群を抜いて上手くて、それでも10円と思うとやりきれないな。
同じく20年前にリリースされたインディーポップロックバンドのアルバム。当時の福井駅前近辺で撮られた写真なので、福井県民にとっては強いノスタルジーを感じさせるジャケットだ。
この手のCDにしては珍しく、ヴォイスドラマが挿入されている。今作はドラマCDも兼ねている。
ドラマの内容というのが、学生時代の友人達とミニ同窓会をする為に「駅前希望通り」に集合しようよ、という他愛も無い会話劇なんだけど、
この「駅前希望通り」という通り名はこのバンドのアルバムが売れてそれに因んでつけられた名前だと言う。
もちろん駅前希望通りなどという通りは福井に存在しないし、今彼らの事を省みる人間も存在しない。
全く知らない、縁もゆかりも無い小学校のタイムカプセルとか卒アルを勝手に掘り返したような気持ちになった。
このアルバムには当時の福井の雰囲気や、見ず知らずの彼らの息遣いがパッケージされていた。
こういうのが50円で手に入るから面白い。